車離れは進行している?免許取得率と車の所有率の変化についてご紹介

「車離れ」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。近年ではよく言われていることであり、「車を持たない家庭が増えている」「免許をとらない若者が増えている」と言われています。しかし、本当に免許を取得しない若者や、車を持たない家庭が増えているのでしょうか。
今回の記事では、自動車免許所持率の変化について、また車の所持率の変化について解説していきます。免許取得率の高い属性や、地域ごとの車の保有率についても併せてご紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。

自動車免許取得率の変化について

最初に自動車免許率の変化について説明をしていきます。「車離れ」が起こっていると言われていますが、実際はどうなのでしょうか。これから若者の免許取得率の推移や、免許取得率の高い属性について詳しく説明していきます。

車離れと言われているが、若者の免許取得率が大幅に減少しているわけではない


「車離れ」と近年言われていますが、運転免許の取得率はどうなっているのでしょうか。
警察庁「運転免許統計」によると、依然として取得率は高い数値を示しています。若者の「車離れ」と言われていますが、20代前半でも7割が免許を取得しており、20代後半だと9割近くの取得率となっています。
では昔と比べて、取得率が下がったのでしょうか?過去10年間の運転免許保有率の推移を確認すると確かにわずかながら割合が減っています。20代後半の場合だと10年で4%ほど減った程度であり、大きな違いは見られません。30代になるとこの10年間、90%以上の取得率を誇っています。
「車離れ」との指摘はありますが、多くの人が現在でも免許を取得していて、免許取得率が急激に下がっているという事実はないと言えるでしょう。

免許取得率の高い属性は30代から50代の男性


では、運転免許の取得率が高いのは、どのような人たちになるでしょうか。
内閣府のデータをもとに、性別と年齢で免許取得率の割合を確認してみましょう。
その結果によると、一番取得率が高いのは45歳〜49歳の男性・50歳〜54歳の男性であり、数値は約96%となっています。この年代の男性になると大多数が運転免許証を保有していることになります。また男性は、25歳〜69歳まで9割以上の人が免許を所持しています。
一方、女性の場合だと、男性に比べて取得率は低い傾向にあると言えます。一番免許を取得している女性の年代だと45歳〜49歳であり、その数値は約92%となっています。

全体で言えば、約85%の男性が免許を取得しており、女性の全体の免許取得率は約65%となっています。男性と比べると女性の免許取得率は20%ほど低い傾向にあります。

男性の免許取得率が高い理由として挙げられるのは、仕事の選択肢の幅を広げられるという点です。車の運転ができることにより就職の幅を広げることができるからです。営業職では車の運転をして、取引先に向かうこともあります。また就職の段階では、求人の応募条件として「自動車免許」が必須となる場合もあります。
また男女問わず、交通アクセスが良くない田舎の場合だと、日常生活において車での移動が必須になるので、必然的に免許を取得する人も多いと言えます。
その他の運転免許証を取得する理由としては、写真付きの身分証明書が手に入るためといった方も増えています。これは何かの会員登録や、身分を証明する必要があるときに使用すると便利です。

車の所有率は地域によって違いがある

自動車の普及率は年々下がっていると言われていますが、実際はどうなのでしょうか。
実は保有台数とともに大きな変化はありません。全体の変化で言えば、微増ですが増えていると言えるでしょう。2009年から2015年の期間だと、5700万台から6000万台まで上がっています。
しかし、地域によって所持率が変わってきています。
車の所有率は、日本の1世帯あたり1台(正確には約1.069台「自動車検査登録情報協会による」)と言われています。しかし、この所有率は住んでいる地域によって大きく違ってきます。
ここでは、都市部で車の普及率、所持率が減少している理由について、また地方での所持率について説明をしていきます。住んでいる地域の事情により、車の所持率は大きく変わってきます。

都市部の車離れが進んでいる


「車離れ」が進んでいるのは主に都市部だと言われています。
「自動車検査登録情報協会」の発表する1世帯ごとの所有台数を見てみると、自動車の所有率が低い都道府県の第1位が東京都で45%前後の家庭が車を所持しているという結果になっています。
つまり、東京都に在住する2家庭のうち1家庭が車を所持していないことになります。続いて第2位は大阪府であり、車の所持率は約65%となっています。こちらも高い割合の家族が車を持っていないようです。3位には神奈川県が続いており、この結果を見てみると1位から3位までが都市部ということがわかります。

都市部での所持率減少している理由


都市部で車の所持率が低い理由として、交通機関が発達していることが挙げられます。
鉄道やバスなど、生活をする上で必要な移動手段が揃っているため、車を所持する必要がない場合が多いです。
行きたい場所には、バスや電車を利用して向かうことができ、スーパーも徒歩圏内にある家庭が多いです。必需品としての車ではなく、家庭にあれば便利なものとして考えられていることも多いでしょう。
また都市部ではカーシェアの認知度が高く、こちらを利用している人が多いことも理由として挙げられます。他にもレンタカーなどの利用率も高く、車の所持ではなく必要なときに使用するという考えも広がっています。
さらに、都市部では駐車場の料金が高いため所持をしない人や、都市部には大学が多く、一人暮らしの学生が所持率の割合を下げている可能性もあると言えるでしょう。

地方では、必要に迫られ購入するケースが多い


一方、都市部に比べて地方では車の所持率が高い傾向にあります。
地方では、1家庭に1台車があるだけではなく、2台以上ある家庭も珍しくありません。
家によっては、父・母・子供がそれぞれ1台ずつ車を所持している家庭もあります。一般的な家の駐車場に3台ほど止めてあるのも、地域によっては当たり前の光景です。
ではなぜ地方は車の所持率が高いのでしょうか。
それは都市部よりも交通機関が発達していないといった理由が挙げられます。例えば、自宅からスーパーが数キロ離れていて、徒歩や自転車だと毎日の買い物が難しい場合があります。また、郵便局やコンビニ、なども遠く離れていることが多いです。
地方の住民にとっては日常的な買い物をするのに車は必需品なのです。もしなければ、生活するのが難しいと言えるでしょう。地方住民にとっては、車はあったら便利なものではなく、なければ生活ができない大切なものになります。そのため車の所持率が高いと言えるでしょう。

まとめ
今回は免許取得率と車の所有率の変化についてご紹介をしました。
免許取得率・車の所持率は、減っているのではなく全体としては数値が変わっていないということがわかりました。都市部では、交通機関が充実していることによって免許取得率が少なく、カーシェアやレンタカーの利用によって車の所持率が少ない傾向にありますが、一番大切なのは、自分の生活に合わせて判断することです。
都市部であろうと地方であろうと、自分の生活において車の免許が必要だと感じる場合は、免許の取得や車の所持を検討するようにしましょう。

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